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横浜地方裁判所 平成7年(ワ)3075号 判決

原告

諸山一男

ほか二名

被告

小田野靖広

主文

一  被告は原告諸山一男に対し、金一五六〇万二〇五七円、原告那須美奈子及び同松本紀子に対し、各金七三二万一〇二九円及びこれらに対する平成四年六月一日から各完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告らのその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は被告の負担とする。

四  この判決の第一、第三項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

(請求の趣旨)

一  被告は原告諸山一男に対し、金二八六三万五六二一円、原告那須美奈子及び同松本紀子に対し、各金一三一七万一〇五三円及びこれらに対する平成四年六月一日から各完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

三  仮執行宣言

(請求の趣旨に対する答弁)

一  原告らの請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

(請求の原因)

一  交通事故の発生

訴外諸山フサミ(以下、フサミという)は、次の事故により受傷し、入院加療の後死亡した。

1 日時 平成四年六月一日午前七時一〇分頃

2 場所 横浜市港北区日吉本町二丁目一〇番一号先路上

3 事故態様 被告が自転車を運転して下田方面から日吉駅方面に向かい前記場所に差しかかつた際、右道路の路側帯に居たフサミの右脇腹に自転車の左ハンドルを衝突させ、フサミは右衝撃により跳ね飛ばされて約三メートル先のブロツク塀に頭を強打した。

4 結果 フサミは右事故により、頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫、外傷性クモ膜下血腫等の傷害を受け、横浜新都市脳神経外科病院に搬送されたが、意識を回復することなく平成五年一二月八日同病院において死亡した。

二  責任原因

本件事故は、被告が自転車のスピードを出し過ぎたこと、ハンドルブレーキ操作を誤つたこと等の過失により惹起されたものであるから、被告は民法七〇九条により後記損害を賠償する責任がある。

三  フサミに発生した損害

1 治療費 三九〇万八〇四六円

2 入院雑費 七二万二八〇〇円

3 休業損害 四八七万四五二〇円

年収(平成三年度) 三二〇万円

休業期間 五五六日間

4 傷害慰謝料 三二三万円

5 死亡慰謝料 二二〇〇万円

6 逸失利益 一五九二万一九二〇円

年収(平成三年度) 三二〇万円

就労可能年数 九年

生活費控除 三〇パーセント

7 損害合計 五〇六五万七二八六円

8 損害の填補 三五七万三〇七一円

9 損益相殺後の金額 四七〇八万四二一五円

四  相続関係

原告諸山一男(以下、原告諸山という)は、フサミの夫であり、原告那須美奈子(以下、原告那須という)及び同松本紀子(以下、原告松本という)は、フサミの子であり、フサミの死亡により同人の権利義務を相続により(相続分は原告諸山一男が二分の一、その余の原告らは各四分の一)承継取得した。

原告諸山の相続分 二三五四万二一〇七円

原告那須の相続分 一一七七万一〇五三円

原告松本の相続分 一一七七万一〇五三円

五  原告らに発生した損害

1 原告諸山の損害

(1) 葬儀費用 二二九万三五一四円

(2) 弁護士費用 二八〇万円

2 原告那須及び同松本

弁護士費用 各一四〇万円

六  原告らの損害賠償請求金額

1 原告諸山 二八六三万五六二一円

2 原告那須 一三一七万一〇五三円

3 原告松本 一三一七万一〇五三円

七  よつて、原告らは被告に対し、請求の趣旨記載の金員及びこれらに対する事故発生の日である平成四年六月一日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(請求原因に対する被告の答弁)

一  請求原因第一項の1、2、4の事実は認め、3の事実については、以下1ないし3の点を除き認める。

1 衝突時にフサミの居た場所は路側帯ではなく、車道に一〇センチメートル入つた地点であり、衝突地点も車道上である。

2 自転車のハンドルの左の部分が衝突したのは、フサミの右脇腹とは特定できず、右腕か右脇腹である。

3 衝突によりフサミは跳ね飛ばされたのではなく、よろめきながら転んだのである。

二  同第二項は否認する。

三  同第三ないし六項はいずれも不知。

(被告の抗弁)

フサミには以下のとおり過失がありその割合は少なくとも八割以上であると思料されるので、損害賠償額の算定にあたつて考慮されるべきである。

1  フサミは、自己が経営する牛乳店の前の道路上に牛乳の自動販売機二台を設置していたが、六〇センチメートルの路側帯を約二〇センチメートルもはみ出しており、路側帯の通行を妨げかつ道路の見通しを阻害していた。

2  フサミは、右自動販売機の間から突然道路に飛び出してきたので、被告は衝突を回避することができなかつた。

(被告の抗弁に対する認否)

被告の抗弁事実は認否する。

1  原告は、自己の経営する牛乳店の前の道路の路側帯へ約一五センチメートルはみ出して牛乳の自動販売機二台を設置していたにすぎず、右機械の間の路側帯に歩行者がいたとしても、それを見通すことは何の妨げにもならない。

仮に、見通しを阻害しているとしても、その場合は、何時なんどき人が飛び出してくるかもしれないのであるから、車の運転者としては減速、徐行するなどの注意義務を負担するものである。

2  被告は、フサミが玄関から出てくるところは目撃しておらず、フサミが飛び出したことを認める証拠はない。

第三証拠関係

本件記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

理由

一  請求原因第一項の1、2、4の事実はいずれも当事者間に争いがない。

二  そこで、事故現場の状況及び事故の態様について検討する。

1  当事者間に争いのない事実

被告が自転車を運転して下田方面から日吉駅方面に向かい、前記場所に差しかかつた際、フサミの身体に被告運転の自転車の左ハンドルが衝突し、フサミは、約三メートル先のブロツク塀に頭を強打した。

2  成立に争いのない甲第四号証、いずれも原本の存在とその成立に争いのない乙第一ないし三号証、成立に争いのない乙第四号証の一ないし三、原告諸山本人及び被告本人尋問の各結果(ただし、被告本人尋問の結果中、後記措信しない部分を除く)によれば、次の事実が認められる。

(1)  下田方面から日吉駅方面に通ずる道路は歩車道の区分はないが、道路左右に〇・六メートルの路側帯が設けられており、道路の幅員は、三・九メートルである。

(2)  右道路は、本件事故当時、アスフアルト舗装され、平坦で乾燥していた。車両の速度は、最高速度三〇キロメートルに規制されており、駐車禁止の場所であつた。午前七時から午前九時までの間、下田町方面から日吉駅方面へ向かつて一方通行の規制がなされ、その旨の道路標識が設置されている。下田町方面から日吉駅方面へは、一直線で前方の見通しは良好である。

(3)  事故現場付近の状況は、下田町方面から日吉駅方面の道路左右は、人家、商家が軒を連ね、道路に面して玄関、店舗の出入口となつている。

(4)  実況見分が実施された平成四年六月一日の午前八時二〇分から二五分までの五分間に、自動車が三六台、自転車が四三台、歩行者が六一人、事故現場付近を通過するほどの交通量であつた。

(5)  被告は、事故当時、東京都内の高校に通う高校二年生の男子学生であり、自宅から最寄りの日吉駅まで自転車で通学し、登校日は午前七時〇五分頃に自宅を出て右駅には午前七時一五分頃に着き、午前七時二一分発の渋谷行の電車に乗つて通学するのが日常であり、事故日も右電車に乗るつもりで午前七時〇五分頃、自転車に乗つて自宅を出て駅に向かい、午前七時一〇分頃、事故現場付近にさしかかつた。

(6)  被告宅から事故現場までの道路状況は、次のとおりとである。すなわち、被告宅の前は少し平坦な道路となつているが、そこから現場に向かつて自転車のペダルを踏む必要がない下り坂が続き、事故現場の一五〇メートル手前から原告宅付近まで平坦な道路が続き、その先は少し上り坂になつている。

(7)  被告宅から事故現場までの距離は、約一・四六キロメートルあり、被告は、自宅を出て事故現場に約五分後に到達しているので、自転車の時速は、約一七・五二キロメートルである。この点に関し、被告は、事故現場の約一〇〇メートル手前で平坦なギアから一番遅いギアへ切り替えたと供述するが、前記認定の事故現場付近の道路状況に照らし、右供述は採用しない。また、自転車の速度について、被告は、アマチヤリ(主婦の買物用の自転車)よりも少し遅い速度であつたと供述するが、前記認定の自転車の種類、構造、道路状況及び被告の自宅から事故現場までの距離と所要時間から計算される速度に照らし、右供述は採用することができない。被告が事故当日に乗つていた自転車は、二六インチの三段ギア、一文字ハンドルの普通自転車であつた。被告の身長は一七五センチメートル、股下は七五センチメートルあり、自転車を止めて両足を地面に着けることができた。

(8)  被告は、事故現場付近の車道を自転車で通過していたところ、後方から自動車が走行してきたので自転車を左側に寄せた。そのとき、約二・三メートル前方道路の路側帯上に居るフサミを発見したが、速度が出ていたのでフサミを避けることができず、ハンドルの左部分がフサミの右腕ないし右脇腹に衝突(なお、衝突した地点は、路側帯から車道に約一〇センチメートル入つたところで、被告がフサミを発見した地点から約五〇センチメートル、フサミは路側帯から車道方向に進出したところである)し、フサミは、予期しなかつた強い衝突であつたため、身体のバランスを失い、約三メートル先のブロツク塀に向かつて飛ばされるような恰好で、勢いよく押し出され、ブロツク塀に頭を強く打ち付けたものと推認され、その結果、頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫、外傷性クモ膜下血腫等の傷害を受けた(右の傷害を受けた事実は当事者間に争いがない)。

衝突後の状況について、被告は、フサミはよろよろしながらブロツク塀に倒れたと供述するが、前掲甲第四号証によると、被告は体格が良く、体重は九〇キログラムあるのに対し、フサミの体重は約五〇キログラムであることが認められ、右事実に、前項で認定した被告運転の自転車の速度及び、当事者間で争いのないフサミの傷害の程度を併せ判断すると、右供述は到底採用することができない。

(9)  被告は、フサミを発見したとき、ブレーキをかけず、ハンドルを右に切つてフサミの横を通過しようとしたが、避け切れないと感じてブレーキをかけた。しかし、前記のとおりフサミと衝突し、約四メートル先に停止した。

三  次に、前項で認定した事故態様をもとに、過失の有無及び過失割合を検討する。

1  本件事故現場付近は、一方通行の規制がなされ、通勤、通学の時間帯で人通りも、車両の通行もかなり多く、車道の左右は、人家、商家が軒を連ね、道路に面して玄関、店舗の出入口となつており、歩車道の区分はなく、道路の幅員は三・九メートルと、交通量の割には狭い道路を、自転車で通行する場合には、前方を注視し、通行人及び道路に面した人家、商店からの人の出入りに注意しながら減速して進行するべき注意義務があるにもかかわらず、被告は時速約一七キロメートルの速度で漫然と進行し、フサミを発見した際、被告とフサミ間の距離及び後方から自動車が接近しており、ハンドル操作ではフサミとの衝突を避け難い状況下にありながら、停止する方法を講ずる(被告は自転車を止めて両足を地面に着けることができたことは、前記認定したとおりであるから、地面に両足を着けつつブレーキをかけて止めることは十分可能であつた)ことなく、ハンドル操作で衝突を回避しようとしたため、本件事故を惹起したものであるから、被告には本件事故につき過失がある。

仮に、被告がフサミを発見した時点において、前記のように停止することが不可能であつたとすれば、被告が停止できないほどの速度を出していたか、あるいは、前方を注視していなかつたためフサミの発見が遅れたことによるものと推認され、いずれにしても、被告は過失責任を免れることはできない。

2  前掲乙第一号証によると、原告諸山は、自己の経営する牛乳店の前の道路の路側帯へ約一五センチメートルはみ出して牛乳の自動販売機二台を設置していたこと、衝突地点は路側帯ではなく、車道に一〇センチメートル入つた地点であり、フサミは、被告がフサミを発見した地点から車道方向に約五〇センチメートル進出していることが認められ、右事実に、前記の事故現場付近の道路状況を併せ判断すると、前記自動販売機が設置されているため、前記車道を走行する車両の運転者から、右設置場所付近の見通しが悪く、したがつて、フサミとしては、右道路の路側帯から車道方向に出る場合には、車両の通行に十分注意する義務があるところ、右義務を怠つたという過失がある。

この点に関し、原告らは、右二台の機械の間に歩行者がいたとしても、それを見通すことは何の妨げにもならないと主張するが、前掲乙第一号証、同第四号証の一ないし三により認められる右機械の設置状況から、原告らが主張するように、見通すことについて何の妨げにもならないとまでは認め難い。

3  被告は、フサミが自動販売機の間から急に飛び出してきた旨主張する。

乙第二号証中には、「フサミが玄関から道路に急に出てきた」との記載が存するが、右記載内容は、前掲乙第一号証、同第四号証の一ないし三により認められる事実、すなわち、、被告がフサミを発見した地点から原告諸山宅の玄関は見えないという事実に照らし、被告が推測で述べたものと認められ、右記載からフサミが玄関から道路に急に出てきたと認めることはできない。他に、フサミが玄関から道路に急に飛び出してきたことを認めるに足りる証拠はない。

4  被告とフサミの過失割合は、前記1ないし3を総合すると、被告が八割、フサミが二割とするのが相当である。

四  損害について検討する。

1  治療費

原告らが、被告からフサミの治療費として三五七万三〇七一円の支払いを受けたことは、当事者間に争いがない。

いずれも成立に争いのない甲第一号証の一ないし八によると、平成五年六月から同年一二月までのフサミの治療費として合計三三万四九七五円を要したことが認められる。

右事実によれば、フサミは、本件事故により治療費として合計三九〇万八〇四六円を要したことが認められる。

2  入院雑費

フサミが、本件事故により前記病院に搬送されたが、意識を回復することなく平成五年一二月八日同病院において死亡したことは当事者間に争いがない。右の事実によれば、フサミは、合計五五七日間入院したことが認められ、入院雑費として、入院一日につき金一二〇〇円が相当であるから、原告らは入院雑費として六六万八四〇〇円であると認められる。

3  休業損害

成立に争いのない甲第四号証、原告諸山本人尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第二号証の二、三及び右結果によると、フサミは、夫の原告諸山が経営する牛乳販売店の営業を手伝つていたこと、平成四年分の所得税の修正申告における原告諸山の所得は、約三四〇万円であること、平成四年分の所得税の確定申告における原告諸山の所得は、約一〇〇万円であり、事業専従者としてのフサミの所得は、五か月分で一〇〇万円であるが、フサミが休業しなければ得たであろう所得は、年収三二〇万円であること、事業専従者としての所得は、税務申告上のことであつて、フサミが右所得を現実に得ていたとは必ずしも認められないこと、以上の事実が認められる。

右で認定した原告諸山とフサミの修正前と修正後の各所得、フサミが原告諸山の経営する牛乳販売店を手伝つていたこと及び事業専従者としての所得が税務申告上のものであることから、フサミの所得を推認すると、同人の平成四年分の実年収は、二〇〇万円と認めるのが相当である。

休業期間は、一年六か月と八日(五五七日)である。

そこで、右の事実をもとに、本件事故の日から死亡した平成五年一二月八日までの原告の休業損害を計算すると、次のとおりである(一円未満切り捨て、以下、同様)。

(計算式)

二〇〇万×(1.5+8/365)=三〇四万三八三五(円)

4  傷害慰謝料

フサミは、本件事故の約一年六か月後に死亡したが、その間、入院したことは前記認定のとおりであり、傷害の程度、入院期間等を勘案すると、三〇〇万円が相当である。

5  死亡慰謝料

成立に争いのない甲第五号証の一及び原告諸山本人尋問の結果によれば、フサミは、原告諸山の配偶者、原告那須及び原告松本の母親であり、原告らは、フサミを事故で奪われ、甚大な精神的苦痛を受けたことが認められるので、死亡による慰謝料としては、一七〇〇万円が相当である。

6  逸失利益

(1)  年収 二〇〇万円(前記認定のとおり)

(2)  就労可能年数 九年(成立に争いのない甲第五号証の一によれば、フサミは死亡時六二歳であることが認められる)

(3)  ライプニツツ係数 七・一〇八

(4)  生活費控除 三〇パーセント

(計算式)

二〇〇万×〇・七×七・一〇八=九九五万一二〇〇(円)

7  葬儀費用

成立に争いのない甲第三号証の一ないし一〇及び原告諸山本人尋問の結果によると、原告諸山は、フサミの葬儀関係費として合計二二九万三五一二円を支出したことが認められるが、葬儀費用としては、右金員のうち、一二〇万円をもつて相当と認める。

五  損害賠償請求権の相続

成立に争いのない甲第五号証の一ないし三及び原告諸山本人尋問の結果によれば、原告諸山はフサミの夫、原告那須及び原告松本はフサミの子であるが、フサミの死亡により前記四の1ないし6の合計三七五七万一四八一円の損害賠償請求権を相続により承継取得した(相続分は原告諸山が二分の一、原告那須及び原告松本が各四分の一)ことが認められる。

原告諸山の相続分 一八七八万五七四〇円

原告那須の相続分 九三九万二八七〇円

原告松本の相続分 九三九万二八七〇円

六  過失相殺

前項の原告らの各相続分につき(ただし、原告諸山については、右相続分に前記四項の7の一二〇万円を加算)、前記三で判示した二割の過失相殺をすると、原告諸山の損害額は、一五九八万八五九二円、原告那須及び原告松本の損害額は各七五一万四二九六円となる。

七  損害の填補

原告らは被告から、三五七万三〇七一円の給付を受けたことは当事者間に争いがない。

原告諸山につき右給付額の二分の一に相当する一七八万六五三五円を、原告那須及び原告松本につき右給付額の各四分の一に相当する八九万三二六七円を、前記六の過失相殺後の金額からそれぞれ控除すると、原告諸山は一四二〇万二〇五七円、原告那須及び原告松本は、それぞれ六六二万一〇二九円となる。

八  弁護士費用

本件認容額、事案の内容その他諸般の事情を考慮すると、被告に負担されるべき額は、原告諸山につき一四〇万円、原告那須及び原告松本につい各七〇万円が相当である。

九  よつて、原告らの本訴請求は、原告諸山が被告に対し、一五六〇万二〇五七円、原告那須及び原告松本が被告に対し、七三二万一〇二九円の支払いを求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当としてこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 日野忠和)

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